2011年03月31日

2011年03月31日:ケータイ充電ができるフィルム?

 「液晶に貼るだけでケータイ充電ができるフィルム」(ロケットニュース24)。エイプリルフールかと思ったが2日早かったので、まじめに検証してみる。ケータイやスマートフォンに「透明フィルムを貼る」ことで「6時間で完璧な充電ができる」とのことなので、iPhone 4 に貼ったと想定する。

  • iPhone 4 のバッテリー容量は 1.42 Ah。電気量に換算すると、1.42 * 3600 = 5.11x103 C。電圧は 3.7 V なので、蓄積されているエネルギーは 5.11x103 * 3.7 = 1.89x104 J。
  • 一方、iPhone 4 の表面積は 11.52 * 5.86 = 67.4 cm2 = 6.74x10-3 m2
  • 太陽光のエネルギー密度はおよそ 1000 W/m2 だが、このフィルムは「透明」なので、可視光を吸収できない。よって、エネルギー分布のスペクトルから可視光を除いて積分して、498 W/m2 とする。(可視光は 400〜760 nm 以上とし、スペクトルはASTM G173-03 テーブルの Global Tilt を使用)
  • 従って、iPhone 4 に貼った透明フィルムが吸収できるエネルギーは 6.74x10-3 * 498 = 3.36 W = 3.36 J/s。
  • 6時間で充電を完了するために必要な変換効率は、1.89x104/(3.36*3600*6) = 0.26 = 26%。

 ふうむ。意外にも、どうしようもなく荒唐無稽というわけでもなかったな。とても現実的とは思えないが。(シリコン系の太陽電池は効率 30% を越えているけど、可視光を全部吸収しないとこの数字は出せない。そして、上記 498 W/m のうち可視光よりもはるかに利用が難しい赤外光が9割近くを占めている…)

タグ:科学
Posted at 2011年03月31日 01:25:19
email.png