2012年09月23日

路面電車の町・富山

 出張で富山に行ってきました。名古屋からは北陸線経由の「しらさぎ」と高山線経由の「ひだ」の2つのルートがある。時間はあまり変わらないので、「ひだ」を選んだ。「ひだ号富山往復割引きっぷ」を使うとかなり安いし、単線でときどき対向車待ちをしながらちんたら走る高山線がなんかけなげで好きなんです。

 富山は初めて訪れた。町の雰囲気が落ち着いているというか、余裕があるというか、いろんな意味で「水準が高い」感じがする。富山駅を中心に路面電車(富山地方鉄道市内電車)が走っていて、その周辺に施設をコンパクトにまとめてある。

 僕が今まで訪れた路面電車のある町は、共通した雰囲気があるように感じる。広島、長崎、松山、熊本、富山(豊橋はちょっと違う。岡山は微妙かな)。それは何だろうと前から思っていたのだが、今回路面電車に乗りながら外の風景を見ていて、一つ気がついた。共通した雰囲気の根底にあるのは、「路面電車のために車が窮屈な思いをすることを市民が受け入れている」ことじゃないかと。道路上の力関係として、路面電車は明らかに車よりも上である。教習所でも「路面電車には逆らうな」と教えられる。実際、車が軌道内にはみ出してしまったときに電車に警笛を鳴らされたら、おとなしくよけるしかない。電車は絶対よけてくれないし、ぶつかったら必ず車が負ける。つまり、路面電車を維持するということは、自家用車の個人的な利便性よりも、公共交通のメリットを優先させるという市民の選択であるわけだ。僕が感じた共通の雰囲気は、そういう選択をした大人の市民が醸し出すものではないかと思う。

 岡崎にも昔は路面電車があったそうです。JR岡崎駅から大樹寺まで、今の「電車通り」。仮に今もここに電車が走っていて、岡崎の公共機関をこの通りの回りに戦略的に集めていたら、岡崎の町は高齢者・子供・障害者など(要は車を運転できない人)にもっと優しくなっていただろうな、と思う。電車通りは片道2車線ずつあるから、真ん中の2車線をつぶして電車を復活させることは全然不可能なわけではない。まあ、今の岡崎市民がそういう選択をするとはとても思えないが、将来は変わってくるかも、いや変わらざるを得ないかも、とは思う。

タグ:お出かけ
Posted at 2012年09月23日 23:24:30
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