2022年05月29日

映画「犬王」

 公開日に見てきました。すごかった!

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 ストーリーもいろいろ奥行きがあるのですが、何と言っても絵・動き・音楽です。私はもともと「ミュージカル」というジャンルがやや苦手で、音楽は音楽で聴きたい派なのです。なんというか、劇や映像が中途半端にくっついているのが邪魔っけに感じる(ミュージカル好きな人には申し訳ないけど)。でも、ここまでダイナミックに絵が動き、カメラが走り回り、それに音楽が負けずに主張しているとなれば、文句なしに大賞賛です。

 アニメーションだからこそ可能な表現ではありますね。犬王の異形の身体が舞い、疾走する姿は、実写では無理。カメラワークも大胆です。演出の発想がすごいなと思った。

 ストーリーとしては、一応「能楽師」の話なのですが、脚本の野木亜紀子さんが「(能の様式を)勉強もしたし時間と労力をかけたんですが、完成した作品を観たら、必要なかったじゃん!と(笑)」とおっしゃっている通り、現代に残る「能」のイメージとは全く違うものとして仕上がっています。ただ、湯浅監督や野木さんも含めて、製作に関わった皆さんが現代の「能」の様式を理解し、現代の能楽師の協力も得た上で、「違うものを(あえて)めざした」ところに価値があるのでは、と感じます。だから、「必要なかった」じゃないんだよ野木さん(笑)

 大友さんの音楽も素晴らしかったですね。守備範囲の広さが半端じゃない。犬王が舞い踊るのがずっとロック調の音楽だったのが、クライマックスの舞で突如としてクラシカルな曲調になったのは、鳥肌が立ちましたね。アヴちゃんの歌も見事だった。

 レイトショーだったけど、お客さんはまあまあ入っていて、30人ぐらいはいたかな。ほとんどが若い人だった。あんまり宣伝を見かけない気がするので、どういうルートで広まっているのか少し興味がある。

タグ:映画
Posted at 2022年05月29日 11:16:22
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