2022年08月09日

Lilypond Tips に追加しました

 "Ecliptic for Wind Orchestra" を Lilypond で浄書したのは9年も前のことです。最近また Lilypond を触り始めたので、当時開発したテクニックを思い出して、いくつか「Lilypond Tips」に追加しました。

 今さらですが、なぜ Lilypond を使うのかというと、(1) 「無料、かつ自由な」フリーソフトウェアであること、(2) 出力された楽譜が美しいこと、(3) テキストで記述できること、(4) カスタマイズが非常に柔軟なこと、によります。

 (1) の利点は自明でしょう。(2) の「美しさ」については Lilypond の開発者自身がこだわっていて、ドキュメントにも詳細に書かれています。昔 (2001 年ごろ) Finale も Sibelius も少し使ってみたことがありますが、どちらも出力結果があまり好きになれなかったのです。どちらかというと Sibelius の方が好きだったけど、まだ PC/Mac 版は出たばかりで、お試し以上の使い方はできなかった。後年、Lilypond を初めて使った時、出力を見て「ああ、これはきれいだな」と思いました。私は子供の頃から、印刷楽譜のフォントなどがとても気になるたちだったので、Lilypond の開発者のこだわりにはとても共感できたのです。

 (3) を利点と見るかどうかは、人によってずいぶん違うかもしれません。少なくとも私にとっては、マウスを使って音符を置いていくよりも、テキストをエディタで書く方がずっと速いです。ただ、速さの点だけで言えば、Finale もキーボードショートカットを駆使すれば同じぐらい速いのかもしれません。テキストベースであるため、一度コンパイルしないとどんな楽譜になるのかわからないのは、不便だと言えば不便です。私にとってはそれは「受容できる不便さ」である、ということです。大編成の長い曲だと、さすがにちょっと辛いけど。

 (4) のカスタマイズについては、とにかく「なんでもできる」と言ってもいいほどなのだけど、問題は「どうやったらできるのかがなかなかわからない」ことですね。ドキュメントを読んでもよくわからないことが多いので、「何かをやりたい」と思うたびに、膨大なメーリングリストのアーカイブを検索しまくることになります。一見簡単そうに見えることが、どうやったらいいのか皆目分からない、ということもよくあります。メーリングリストで質問に答えているベテランの人たちは、Lilypond が内部で何をやっているのかよくわかっているみたいだけど、その域に達するのはハードルがとても高そうです。

タグ:音楽
Posted at 2022年08月09日 08:16:55
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