2022年09月08日

公立の中高一貫校で音楽科って……

 「【独自】明和に20人学級音楽コース 愛知中高一貫、300人規模ホールも」(中日新聞Web 9/5)……愛知県立明和高校が中高一貫に移行しようとしているのですが、それに伴って「中学に音楽コースを設置」するそうです。うーん、公立の中学校に音楽科って要る?? 小学6年生の段階で、音楽の道に決め打ちしちゃうわけ? それを公立の学校でやるわけ??

 愛知県には、音楽科を持つ公立高校が、県立明和高校と名古屋市立菊里高校の2校ある。今春の入試では、どちらも定員割れを起こしていた。志願者が減っているわけですよ。ニーズと逆行してません? あ、だから中学から青田刈りしよう、という発想なのか? 筋が悪いとしか思えんな。

 大村知事の「6年間修行して世界を目指して欲しい」というコメントもなんだか空虚に聞こえます。関係者にはたいへん失礼ですけど、「世界を目指す」レベルの人が明和や菊里の音楽科を目指しますかね? ヴァイオリニストの竹澤恭子さんは世界で活躍されていますが、愛知県の大府中学校から上京して桐朋学園高校の音楽科とのことです。世界を目指す人って、自然とそういう発想になると思います。音楽の世界では、若い頃から有力な指導者に「見つけてもらう」ことって大事なんだと思う。いくら才能があっても、そういうラインに入ってないと、埋もれたままになってしまう。

 明和・菊里で、本気で「世界を目指す」音楽家を育てたいのであれば、世界的な音楽指導者を客員でどんどん招聘して、才能ある若い芽を見つけて引き抜いてもらう、というような方向にお金を使った方がいいんじゃないのかな、と思います。でも、そうはならない。予算をつけて制度と建物を作ることしか考えてない。本気で音楽家を育てたいなんて誰も思ってなくて、ただの予算の分捕り合戦でしかないんだろうな、と思います。明和の音楽科の卒業生は懸念を表明した方がいいと思うんだけど、なんか歓迎しちゃってるみたいですよね……

タグ:社会 教育
Posted at 2022年09月08日 20:34:25
email.png